文献詳細
研究と報告
精神分裂病の親子発症例について
著者: 田中雄三1 小野田倉三1 川原隆造1 久田研二1 挾間秀文1 田中潔2
所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室 2国立療養所鳥取病院
ページ範囲:P.133 - P.142
文献概要
1)分裂病親子発症例23組のうち,母子発症例は17組,父子発症例は6組で,母子発症例が父子発症例より著しく多かった。
2)病型別にみると親の病型は,妄想型(10名)が最も多かった。子の病型は破瓜型が16名で多数を占めていた。また,親子の病型の一致例は9組(約39%)であり,このうち破瓜型の一致例が最も多く7組であった。
3)調査時の精神状態は,親子とも完全寛解例はなく,組合せとしては親子とも軽快,あるいは親軽快,子社会的寛解という例が多かった。全体的にみると親より子の方に精神状態のよいものが多かった。
4)親子の初発年齢を比較してみると,親では30歳以上で初発する例が半数近くあるが,子では20歳前後の発症が最も多かった。
5)その他,罹病期間,入院回数,教育歴,家族構成などについても調査し若干の検討を加えた。
掲載誌情報