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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻2号

1981年02月発行

研究と報告

Pellagra sine Pelle Agra—精神科・神経内科領域の気付かれない疾患

著者: 石井惟友14 西原康雄1 鈴木高秋2 菊池昌弘3

所属機関: 1鞍手共立病院 2飯塚病院精神科 3福岡大学病院病理部 4現産業医科大学第1病理

ページ範囲:P.143 - P.151

文献概要

 抄録 450剖検例中Betz細胞や橋核神経細胞などに著しいcentral chromatolysisを呈するものが16例見出された。これら16例の臨床所見を調べてみると,遷延する譫妄状態,四肢特に両下肢の痙縮・筋強剛,痙攣,末梢神経炎,下痢,顔面にdyssebaciaなどの皮膚症状,全身るいそう,低蛋白血症,貧血などが記載されており,ペラグラを示唆する症状と考えられる。肺結核患者5例ではisoniazid服用中に精神神経諸症状が起り,isoniazidによるペラグラ発症例と思われる。栄養状態の良くなった今日でも,精神科・神経内科領域の患者には典型的な皮膚症状を呈さないペラグラ(pellagra sine pelle agra)があり,日常診療上,注意すべきである。ペラグラの最も大事な所見は精神神経症状であり,3Dの一つであるdementiaで代表されているが,譫妄状態を呈することの方がより特徴的であり,"delirium"のDとして憶える方がよいと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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