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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻2号

1981年02月発行

文献概要

研究と報告

てんかん患者の電解質異常(Ⅱ)—てんかん患者の血液放置において観察された血球内外の電解質変動異常

著者: 武井満1 関章司2

所属機関: 1東京都立府中療育センター 2三枚橋病院

ページ範囲:P.153 - P.159

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 抄録 てんかん発作の発生機序や抗てんかん剤の作用機序を考えるうえで,細胞内外の電解質動態を知ることは重要であり,これまでてんかん患者の低Ca血症は知られている。しかし細胞内の電解質代謝については方法的に困難な点が多く臨床での知見は乏しい。
 そこで血液を採血後血清分離せず放置すると血球内外で電解質の移動がおこる現象を利用して,てんかん患者の細胞内外における電解質動態とその機構について検討した。その結果,てんかん患者は血球外のCaが低下しているばかりでなく血球内のCa代謝についても異常が推定された。更にNaとKの双方の能動輸送に関与するエネルギーの異常が推定され,そのひとつとしてNa+-K+-ATPaseの活性の促進が考えられた。以上のことを抗てんかん剤の作用機序と副作用という観点から考察し,臨床症状に及ぼす影響との関連について論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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