icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻2号

1981年02月発行

研究と報告

左頭頂葉角回部損傷による構成失書の1例

著者: 高坂要一郎1 山内俊雄1 川村幸次郎2 佐藤晋2

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室 2市立釧路総合病院精神神経科

ページ範囲:P.169 - P.176

文献概要

 抄録 左頭頂葉角回部の血管性損傷によって暗算の障害および軽度の構成失行をきたした患者について,失書症状の性質を検討した。書字のうち,書き取り,自発書字に際して著明な発動性の低下,字性健忘,錯書が認められ,描画に長時間を要した。障害の性状は字性失書であり,漢字,平仮名,アルファベット,数字がほぼ同程度に障害されていた。この所見は,構成失書における日本語の特性として仮名と比べて漢字がより強く障害されるとする従来の説と異なる。この点についてlogography,phonographyという観点からlogo-,phono-,の部分は構成失書と本質的な関係を有しないこと,即ち構成失書においては表音,表意文字間に本質的な差はなく,障害はむしろgraphyの部分にあることを述べ,Zuttの「自動性」,Straussの「運動覚」が書字行為に与える影響について考察した。また三次元の描画の障害と暗算の障害も構成失書と同一の病変に基づくものであると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら