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研究と報告
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抄録 1971年以来4回,滞在期間83日にわたって,伝統的文化とキリスト教文化の共存がみられるメキシコ・オアハカ州マサテコ族アヤウトラ村(人口約3000名)と,今なお素朴に原始焼畑農耕を営み比較的最近まで西欧文化との接触がみられなかったチャパス州ラカンドン族ラカンハ(104名)およびナハ(61名)村において精神医学的調査を行なった。アヤウトラ村では,罹病期間6〜25年の普遍的病像を呈する6例の定型的慢性分裂病者を観察したが,いずれもある程度社会性が保持されていた。神経症例では伝統的な神を失うことによる生活不安が窺われる。また飲酒による暴力事件や慢性アルコール中毒者の発生状況を上記3村における住民の飲酒形態から考察した。後2村ではいかなる精神障害者にも遭遇することがなかった。
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