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研究と報告
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抄録 日本,スイスのうつ病者83名を対象に,これらをA群(日本の単相型群),B群(スイスの単相型群),C群(日本の両相型群)の3群に分け,Hamilton Rating Scale(HRS),罪責体験・恥体験に関する質問紙を用いて,比較文化的症候論を試みた。
HRS各項目の分析からは,文化規定的症状として精神運動抑制のみがあげられるが,うつ病という現象に対する体験の仕方は両国では異なり,日本のうつ病者は他者との関連で把握する傾向があるのに対し,スイスの病者は症状そのものを鋭く把握する。
罪責体験・恥体験では,両国の病者とも,恥体験に対する罪責体験の優位と両者の3親和性を認めたが,その体験内容は対照的な方向を示した。
対象群の共通症状として推定できるのは,身体症状を前景とした単純なうつ病像で,これらの臨床的現われがうつ病中核群であると考えられる。
HRS各項目の分析からは,文化規定的症状として精神運動抑制のみがあげられるが,うつ病という現象に対する体験の仕方は両国では異なり,日本のうつ病者は他者との関連で把握する傾向があるのに対し,スイスの病者は症状そのものを鋭く把握する。
罪責体験・恥体験では,両国の病者とも,恥体験に対する罪責体験の優位と両者の3親和性を認めたが,その体験内容は対照的な方向を示した。
対象群の共通症状として推定できるのは,身体症状を前景とした単純なうつ病像で,これらの臨床的現われがうつ病中核群であると考えられる。
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