文献詳細
文献概要
研究と報告
うつ病の比較文化精神医学的研究—日本とスイス
著者: 北西憲二1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神神経科教室
ページ範囲:P.331 - P.339
文献購入ページに移動HRS各項目の分析からは,文化規定的症状として精神運動抑制のみがあげられるが,うつ病という現象に対する体験の仕方は両国では異なり,日本のうつ病者は他者との関連で把握する傾向があるのに対し,スイスの病者は症状そのものを鋭く把握する。
罪責体験・恥体験では,両国の病者とも,恥体験に対する罪責体験の優位と両者の3親和性を認めたが,その体験内容は対照的な方向を示した。
対象群の共通症状として推定できるのは,身体症状を前景とした単純なうつ病像で,これらの臨床的現われがうつ病中核群であると考えられる。
掲載誌情報