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研究と報告
精神分裂病者の時間評価
著者: 有泉豊明1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神神経科教室
ページ範囲:P.341 - P.350
文献購入ページに移動 抄録 精神分裂病者の時間評価に関して,時に正常者からの偏倚が認められることは臨床的観察からも古くから知られていた。著者はこの問題にさらに検討を加えるため次のような実験を行い,若干の興味ある知見を得た。
分裂病者40名,正常者20名を対象とし,条件Ⅰ,条件Ⅱ,条件Ⅲの順序でそれぞれ2分間の時程を提示し,おのおのの時程に対する時間評価を行わせた。
条件Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ相互間における時間評価の長短に注目すると,正常者では条件Ⅰの時程を条件Ⅱ,Ⅲの時程より有意に長いと評価した。しかし,分裂病者ではこのような傾向は認められなかった。また,条件Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ相互間における時間評価の正確さに注目すると,正常者では条件Ⅰ,条件Ⅱ,条件Ⅲと回をかさねるごとに正確な時間評価を行う者が増大した。しかし,分裂病者ではこのような傾向は認められなかった。
以上の結果に関し,主に分裂病者の刺激に対する反応性の観点から若干の考察を行った。
分裂病者40名,正常者20名を対象とし,条件Ⅰ,条件Ⅱ,条件Ⅲの順序でそれぞれ2分間の時程を提示し,おのおのの時程に対する時間評価を行わせた。
条件Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ相互間における時間評価の長短に注目すると,正常者では条件Ⅰの時程を条件Ⅱ,Ⅲの時程より有意に長いと評価した。しかし,分裂病者ではこのような傾向は認められなかった。また,条件Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ相互間における時間評価の正確さに注目すると,正常者では条件Ⅰ,条件Ⅱ,条件Ⅲと回をかさねるごとに正確な時間評価を行う者が増大した。しかし,分裂病者ではこのような傾向は認められなかった。
以上の結果に関し,主に分裂病者の刺激に対する反応性の観点から若干の考察を行った。
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