icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻4号

1981年04月発行

文献概要

研究と報告

有機溶剤乱用者にみられた心電図変化について

著者: 櫻井征彦1 白川雄伸1 冨永秀敏2

所属機関: 1門司保養院 2久留米大学医学部内科学第1講座

ページ範囲:P.351 - P.359

文献購入ページに移動
 抄録 有機溶剤乱用により,中枢・末梢神経系の障害や,肝,腎を含む臓器障害を惹起しうることが警告されて久しい。にもかかわらず,これら乱用は,昨今,広く青少年層に定着し,種々の社会的問題を提起しつつある。本論文は,現在まで注目されなかった有機溶剤の心臓に及ぼす影響について述べる。対象は,有機溶剤依存または中毒により入院した45例のうち,入院早期に心電図測定が行われた34例である。うち,何らかの心電図異常が見られたのは,15例(44%)で,内訳は,洞性頻脈,洞性徐波各2例,不完全右脚ブロック4例,1度房室ブロック2例,洞結節内移動ペースメーカー,上室性期外収縮,房室解離と不完全右脚ブロック,左室肥大,U波の出現の各1例であった。以上は,有機溶剤が,特に心臓の調律や刺激伝導系に影響を及ぼすことを示しており,更に重篤な障害を惹起しうることを示唆している。有機溶剤吸引の新たな危険性を指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?