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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻4号

1981年04月発行

研究と報告

新benzodiazepine製剤(triazolam)による短期記憶の障害

著者: 挾間秀文1 川原隆造1

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.361 - P.365

文献概要

 抄録 Benzodiazepine系薬剤服用の結果生じたと思われる,記憶とくに短期記憶の障害例について述べた。症例は51歳健康男子で,triazolam(1mg)を服用して8〜9時間の睡眠をとり,一旦自然覚醒して日常行動を開始したが,その後4〜5時間,意識障害があったと考えられる状態はなく,目的行動を支障なく遂行できていたにもかかわらず,その間の行動をほとんど完全に想起できなかった。当時の言動から逆行性健忘はなく,また即時記憶,見当識,注意力は保たれていたと思われるが,主として短期記憶のみが覚醒後数時間持続して障害された結果,一過性全健忘に似た状態を呈したものと思われる。その後,同一症例に対しtriazolamの再投与を行って状態を観察した結果,triazolamの常用量上限,あるいはそれをわずかに越す用量の服用によって一定時間の睡眠をとって覚醒した後,prolonged effectとして短期記憶の障害を来しうることを確認した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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