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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻5号

1981年05月発行

文献概要

研究と報告

中年および退行期女性の「村八分」妄想についての人間学的・役割理論的考察

著者: 長井真理12

所属機関: 1名古屋市立大学医学部神経精神医学教室 2八事病院

ページ範囲:P.465 - P.472

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 抄録 中年期および退行期の女性にみられる単一妄想性精神病は,多くの点で分裂病と異なっている。この差異は,臨床症状だけではなく病者の人格の基礎構造に着目すると,より明確になる。ここでは共同体から排除されるという被害妄想を呈した7症例について,病前の特有の対人関係のあり方から基礎構造への接近を試み,役割理論的見地から考察をおこなった,彼らはもっぱら役割の相でのみ他者と関わり,他者は自己に役割を与えてくれる役割補完者にすぎない。また,自己はそのつどの役割に過度に同一化する結果,役割との間に本来あるべき距離がほとんど失われてしまう。そして,そこから展開されてくる病前状況は役割同一性の危機としてまとめることができる。このようなあり方は,A. Krausが躁うつ病者について見出した構造ときわめて類似している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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