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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻5号

1981年05月発行

文献概要

研究と報告

自閉症児における精神運動発達の特徴—第2報:正常児,精神遅滞児および自閉症児での乳幼児精神発達質問紙の各項目通過率の比較分析

著者: 栗田広12 清水康夫1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2国立武蔵療養所神経センター診断研究部

ページ範囲:P.481 - P.494

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 抄録 7歳以下の男子自閉症96例と精神遅滞79例で乳幼児精神発達質問紙の5領域ごとに発達年齢と暦年齢のつり合ったペアを選択し,各質問項目通過率を発達年齢ごとに比較した。津守らによる正常群と発達年齢の相応した自閉症群も選択し,同様の比較を行った。自閉症児は機械的な記憶や日常的な経験の反復で習得可能な項目の通過率は,発達年齢相応の対照2群に劣らず,暦年齢相応の正常児にも劣らない項目もある。一方自閉症児は,象徴機能に裏づけられる象徴遊びやルールのある遊びなどの発達が精神遅滞児に比しても劣り,多くの自閉症児は感覚運動的知能の段階より表象的知能の段階への発達的移行が,より特異的に障害されている。自閉症児の特異な能力,反響言語などの自閉症状もこの発達の特異性の表現として把握できる。以上は従来の自閉症児の認知障害研究の結果とよく符合し,自閉症の診断,発達評価における質問紙法の一定の意義を示すものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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