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研究と報告
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抄録 精神分裂病者の脳の形態的変化について気脳撮影による報告は多数あるが,いまだその一致した結論はない。この問題の再検討を目的として分裂病者191例の頭部CT所見を対照群100例と比較し,更に治療経過,状態像との関連を検討した。所見は前頭部クモ膜下腔(F),前頭部大脳縦裂(I),シルビウス裂(S),前頭頭頂部脳溝(P),側脳室(Lv),第3脳室(Ⅲv)の6部位につき判定した。その結果,分裂病群におけるF,I,S,Lvの拡大出現率は対照群より有意に高く,中でも寛解が困難で対人接触,言語活動,自発性,感情表出の障害が著しい患者群(非寛解群Ⅱ型)における拡大出現率が特に高かった。また分裂病者にみられる拡大の部位には一定の局在傾向は認められず,I. Q.,経過年数と拡大出現率との間には一定の関係を認めなかった。EST施行群の拡大出現率はIにおいてのみ非施行群より有意に高かった。
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