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研究と報告
失語発作重積状態を呈した1例
著者: 竹下久由1 川原隆造1 挾間秀文1
所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神科教室
ページ範囲:P.585 - P.592
文献購入ページに移動 抄録 左前頭部外傷後の夜間てんかんに合併して,数日間にわたり失語発作が重積様に頻発し,経過の途中から間歇期にも種々の精神機能の低下を来たした,56歳の右利き男子例を報告した。失語発作時は他覚的には簡単な口頭指示にも従えず,応答は的はずれで,自発言語量は少なく,保続的傾向や錯文法が認められ,読字や書字にも障害が認められたが写字は可能であった。その間粗大な意識障害や片麻痺などの神経学的異常所見は伴わなかった。脳波所見上,失語発作に相当して左半球の全導出部位に,高振幅の徐波が連続して出現しており,類似のsubclinicalな脳波変化も認められた。また発作間歇期にも模倣言語の障害,復唱(数字)の悪さ,記銘力の低下などが認められたほか,健忘失語,保続的傾向,錯語,錯文法などを呈していた。上記についててんかん発作としての観点と,失語症としての観点から若干の考察を加えた。
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