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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻6号

1981年06月発行

研究と報告

精神症状のみを主症状とし,予後良好であった脳室内穿破を伴う脳内出血の4例

著者: 佐々木高伸1 森田博方1 好永順二1 井手下久登1 引地明義1

所属機関: 1社会保険広島市民病院神経科

ページ範囲:P.593 - P.598

文献概要

 抄録 一見痴呆様の精神症状のみを主症状とし,神経学的局所症状を欠き,極めて予後良好であった脳室内穿破を伴う脳内出血の4例を報告し考察を加えた。
 4例の内訳は左尾状核出血2例,左視床出血1例,左側脳室三角部内側出血1例でいずれもCTスキャンにて初めて病態が把握された。これらの症例は出血部位は様々であるのに記銘力低下,判断,認識の誤り,失見当識を中心に作話も出現するという共通の精神症状のみが前面に出ており,脳室近傍の小出血が脳室内に穿破することにより,局所の脱落症状が少なくて済み,脳室内出血による脳機能低下に基づく健忘症候群が前面に出たものと考えた。一方臨床的には,比較的急激に出現して来た"ボケ"様の精神症状(健忘症候群)を常に意識障害の観点からみることが重要であると同時に,早期にCTスキャンによるスクリーニングが必要であると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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