文献詳細
研究と報告
精神症状のみを主症状とし,予後良好であった脳室内穿破を伴う脳内出血の4例
著者: 佐々木高伸1 森田博方1 好永順二1 井手下久登1 引地明義1
所属機関: 1社会保険広島市民病院神経科
ページ範囲:P.593 - P.598
文献概要
4例の内訳は左尾状核出血2例,左視床出血1例,左側脳室三角部内側出血1例でいずれもCTスキャンにて初めて病態が把握された。これらの症例は出血部位は様々であるのに記銘力低下,判断,認識の誤り,失見当識を中心に作話も出現するという共通の精神症状のみが前面に出ており,脳室近傍の小出血が脳室内に穿破することにより,局所の脱落症状が少なくて済み,脳室内出血による脳機能低下に基づく健忘症候群が前面に出たものと考えた。一方臨床的には,比較的急激に出現して来た"ボケ"様の精神症状(健忘症候群)を常に意識障害の観点からみることが重要であると同時に,早期にCTスキャンによるスクリーニングが必要であると思われた。
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