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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻6号

1981年06月発行

文献概要

研究と報告

産褥期にてんかん性要因と心因が相交錯してけいれん発作と多彩なもうろう状態を呈した1症例

著者: 加藤秀明1 植木啓文1 田村友一1 森俊憲1

所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.599 - P.605

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 抄録 産褥期(分娩1週間後)に約9日間にわたって,応答のない状態→強直間代性発作→運動不穏→昏睡様意識喪失→ヒステリー症状(片麻痺,円筒状視野狭窄,小児症,偽痴呆,心因性健忘)を呈した1症例(27歳,女性)を報告した。この症例には,①棘徐波放電が頻発し,脳波上はてんかんといってよいこと(てんかん性要因),②産褥期における高血圧性脳症的機能異常(身体的要因),③発症前後のヒステリー症状,十分な心因,人格特徴などからヒステリー的特徴も備えていたこと(心因)の3つの要因が,病因論的にも病像賦形的にも相交錯して,相補的に関与していた。その器質因と心因のとらえ方について論じた。
 さらにとくに興味があった,①発作後もうろう状態,②てんかんとヒステリーの関連,③特異な心因性健忘(夫との結婚生活に関することのみの健忘)についてはそれぞれの観点からも検討した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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