文献詳細
研究と報告
文献概要
抄録 XYY個体は犯罪・非行との関連が注目されている性染色体異常のひとつである。性染色体異常と精神障害との関連を明らかにすることを目的として精神病院入院男子患者にスクリーニングを実施し,4名のXYY個体を発見した。このうち精神分裂病と診断された1例について報告した。症例は46歳で17,8歳頃からはじまる不眠と幻覚妄想状態のため17年にわたり入院中で,分裂病性人格障害をきたしている現在の状態をいわゆる定型分裂病と区別することは困難であった。文献的にはいわゆる定型分裂病と考えられるXYY個体は少ないが,XYY個体には中枢神経系の異常は明らかでなく,本報告例のような症例もかなり存在する可能性を否定できないであろうと推察した。また,病前性格は活発・元気のよい子とされており,従来からいわれている活動性の高いことを裏づけた。
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