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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻8号

1981年08月発行

文献概要

研究と報告

慢性分裂病の認知障害—Dichotic Listening法による検討

著者: 種田真砂雄1 志津雄一郎1 玉城嘉和1 横内恵子1 村岡英雄1 高見堂正彦1

所属機関: 1北里大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.787 - P.797

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 抄録 慢性分裂病の認知障害について多くの知見が得られているが,中心のテーマをなしているのは注意障害である。注意は,情報処理における,広さ(量)と深さ(正確さ)のやりくり(trade-off)と定義できる。この見地にたってdichotic listening法を用い,慢性分裂病者の注意を正常者のそれと比較した。右耳には,情緒的に中性の内容の散文を呈示して追唱させながら,左耳に高低2種の純音を呈示,低音を選んでタッピング反応を求め,テスト終了後に散文の内容を想起させた。その結果,慢性分裂病ことに症状活発な者では,脱落型の追唱エラーが多く,タッピングの正答数は少なく,想起に乏しいことがわかった。これらのことより,慢性分裂病者は,注意容量が小さく,処理能力の分配に欠陥があり,短期記憶での処理が遅いと考えた。さらに,追唱に際して言語的処理(文脈的な意味の分析)が浅いため,長期記憶に移送することが不十分となり,再生が乏しくなるものと推測した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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