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研究と報告
分裂病を疑われた第四脳室脈絡叢乳頭腫の1例
著者: 鈴木康夫1 太田龍朗1 大原健士郎1
所属機関: 1浜松医科大学精神神経科学教室
ページ範囲:P.815 - P.820
文献購入ページに移動 抄録 今回,我々は自閉,自発性欠如,幻覚,被害関係念慮などの精神症状を前景とし,神経学的所見に乏しい,第四脳室脈絡叢乳頭腫の1例を経験した。患者は21歳女性,会社員であったが,発症後3カ月間は2カ所の精神科にて,分裂病として治療をうけていた。しかし,向精神薬を投与しても症状は軽快せず,副作用(傾眠,流涎)のみがあらわれていた。我々は以上のような経過から,器質性精神病を疑い,脳波,CT scanおよびBender-Gestalt testを施行し,結局CT scanのenhancementにより第四脳室腫瘍であることを診断した。本症例が呈した自閉,自発性欠如は腫瘍の部位よりakinetic mutismに近いものと思われた。また幻覚については,脳脚症候群や脳橋症候群など脳幹性幻覚に含まれるものと考えられた。
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