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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻8号

1981年08月発行

文献概要

古典紹介

Hans Berger—ヒトの脳波について—第1回

著者: 山口成良1

所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.829 - P.838

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 多分,電気生理学の最大の有識者の一人と見なされるGarten原注1)が正当にも力説したごとく,われわれが動物ならびに植物の生きている細胞に電流を発生する能力があると仮定しても,そんなに間違ってはいないだろう。われわれはそのような電流を生物電流と呼ぶが,それは細胞の正常な生活現象を伴っているからである。それは限界電流Demarkationsstrom,変化電流Alterationsstrom,または縦横断電流Längsquerschnittsstromとして呼ばれている損傷によって人工的に生じた電流から十分に区別されねばならない。なんといっても莫大な数の細胞が存在している中枢神経系においてもまた,生物電気現象が証明されるだろうと,もともと期待されていたが,事実,この証明はすでに比較的早期にもたらされた。
 Caton原注2)はすでに1874年家兎とサルの脳の実験を発表し,不分極電極を両側の半球表面か,または一つの電極を脳皮質に,他の電極を頭蓋表面においた。電流は鋭敏な電流計Galvanometer〔訳注。検流計が正訳かも知れないが,慣用として電流計とする〕で導出された。はっきりした電流変動Stromschwankungが見出された。それはとくに,睡眠から覚醒に移る時に,また死がさしせまった時に増強し,死後減衰し,そしてそれから完全に消失した。すでにCatonは,眼に光をあてた時に,強い電流変動が大脳皮質に生ずることを証明した。そして彼は,これらの皮質電流は大脳皮質内の局在づけLokalisationのために役立てられうるだろうという推測を述べた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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