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研究と報告
重症身体疾患とくに悪性腫瘍のいわゆる警告うつ病について
著者: 木戸又三1 武村和夫1
所属機関: 1東京都養育院付属病院精神科
ページ範囲:P.885 - P.892
文献購入ページに移動 抄録 中高年の自殺者には悪性腫瘍の頻度が高いこと,また中高年の情動疾患の患者では悪性腫瘍による死亡率が高いこと,などを示す統計学的な研究や,抑うつが悪性腫瘍の初期症状である場合があるという臨床的な報告などから,最近,身体疾患とくに悪性腫瘍とうつ病との関係が注目されている。われわれは老人専門の総合病院における約7年間の臨床で,うつ病の治療中に重症身体疾患が発見された5例を経験した。発見された身体疾患は,肺癌2例,胃癌2例,重症肺感染症1例であった。5例のうち4例は,内因性うつ病に近い症状,経過を示し,あとの1例は反応性うつ病により近い病像を示した。そして精神症状の発現から身体疾患の発見までの期間は平均8ヵ月であり,精神症状発現時には既に身体疾患は存在していたものと推察された。このような,いわゆる警告うつ病の範疇に入ると思われる自験例を呈示して,その特徴,成因,治療の意義について,若干の考察を加えた。
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