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文献概要

短報

逆転視野に関する逆さ眼鏡を用いた実験的研究

著者: 中尾武久1 二宮英彰1 藤原正博1 池田暉親1

所属機関: 1宮崎医科大学精神科

ページ範囲:P.935 - P.939

 抄録 逆さ眼鏡を使用した場合,逆転してみえる外界への適応の過程,すなわち,知覚的,行動的適応の機序をより詳細に検索するために,4人の被検者を用いて各種実験を行なった。
 まず適応の過程についてみると,実験第1日では視野の動揺が著明で,外界はゆれ,現実性(reality)を失ない,書字・文字の判読は不能である。また自分の目的とする行動をなしとげるまでの時間が長く,拙劣であった。しかし,これらは実験日を追うごとにほぼ回復し,実験最終日には普段に行なっている行動はほぼ支障なくでき,自転車にのる程度までに回復した。また,視野の動揺による不快感,外界の異和感などは経時的に減少するのに対し,逆さ眼鏡を除去して歩行した場合にみられる船酔に似た眩暈感は次第に増強する傾向を示した。以上の所見の外に,眼球運動の経時的変動の所見をあわせ,適応の過程の神経生理学的意義について考察を加えた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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