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短報
Alzheimer病患者に対するphysostigmineの効果—心理テストを通して
著者: 佐藤武夫1 高橋和郎1
所属機関: 1鳥取大学医学部神経内科
ページ範囲:P.947 - P.950
文献購入ページに移動I.はじめに
Alzheimer病では失見当識および記憶障害を初期症状とし,病勢の進行に伴い多彩な巣症状が出現し,未期には知的活動が停止し植物状態となる。近年,Alzheimer病患者脳の生化学的分析から,acetylcholineの合成酵素であるcholine acetyltransferase活性が大脳皮質,海馬などで選択的に低下していること1,2),しかも中枢コリン作動系の障害は節前性にあることが明らかにされ3,4),さらに中枢コリン作動系の節後受容体を刺激する薬物の投与は一時的ながらAlzheimer病患者の記憶や構成行為を改善することが示された5〜7)。これらの報告はAlzheimer病に対する効果的治療法が全く無い現在,本疾患に対する薬物療法の手がかりを与えるものとして注目される。
我々は,Alzheimer病第2期の病勢の比較的安定した1名の患者に対し,脳血液関門を通過する抗cholinesteraseのphysostigmineを投与し,痴呆症状に対する検査をくり返し行いその臨床効果を検討した。
Alzheimer病では失見当識および記憶障害を初期症状とし,病勢の進行に伴い多彩な巣症状が出現し,未期には知的活動が停止し植物状態となる。近年,Alzheimer病患者脳の生化学的分析から,acetylcholineの合成酵素であるcholine acetyltransferase活性が大脳皮質,海馬などで選択的に低下していること1,2),しかも中枢コリン作動系の障害は節前性にあることが明らかにされ3,4),さらに中枢コリン作動系の節後受容体を刺激する薬物の投与は一時的ながらAlzheimer病患者の記憶や構成行為を改善することが示された5〜7)。これらの報告はAlzheimer病に対する効果的治療法が全く無い現在,本疾患に対する薬物療法の手がかりを与えるものとして注目される。
我々は,Alzheimer病第2期の病勢の比較的安定した1名の患者に対し,脳血液関門を通過する抗cholinesteraseのphysostigmineを投与し,痴呆症状に対する検査をくり返し行いその臨床効果を検討した。
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