文献詳細
研究と報告
文献概要
抄録 57歳両手利きの男性で,3度の脳血管障害の後でいずれも純粋失読症状を呈した症例を報告した。右同名半盲,色名呼称障害,右半側空間無視,写字障害,漢字の想起困難を合併していた。CTスキャンでは左後頭葉内側面に低吸収領域があり,左後大脳動脈領域の梗塞が示唆された。著者らは各々の発作後の失読症状の推移を経時的に観察したところ次のような特徴が見出された。1)失読症状は全般に回復傾向にあった。2)音読不可能な時期においても文字形態の視覚的把握は可能であった,3)音読がS. L. T. A. で回復するまでの音読不可能な場合にも,しばしば文字のおおよその意味を把握することが可能なことがあった。
著者らは特に 3)の点に注目したが,Vorgestalt的把握,“cue”の効果などが関与していることを推定した。
著者らは特に 3)の点に注目したが,Vorgestalt的把握,“cue”の効果などが関与していることを推定した。
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