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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻1号

1982年01月発行

研究と報告

純粋失読の1例—その回復過程を中心に

著者: 工藤順子1 工藤達也1 浅野裕1

所属機関: 1市立室蘭総合病院祝津分院

ページ範囲:P.57 - P.64

文献概要

 抄録 57歳両手利きの男性で,3度の脳血管障害の後でいずれも純粋失読症状を呈した症例を報告した。右同名半盲,色名呼称障害,右半側空間無視,写字障害,漢字の想起困難を合併していた。CTスキャンでは左後頭葉内側面に低吸収領域があり,左後大脳動脈領域の梗塞が示唆された。著者らは各々の発作後の失読症状の推移を経時的に観察したところ次のような特徴が見出された。1)失読症状は全般に回復傾向にあった。2)音読不可能な時期においても文字形態の視覚的把握は可能であった,3)音読がS. L. T. A. で回復するまでの音読不可能な場合にも,しばしば文字のおおよその意味を把握することが可能なことがあった。
 著者らは特に 3)の点に注目したが,Vorgestalt的把握,“cue”の効果などが関与していることを推定した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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