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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻1号

1982年01月発行

文献概要

研究と報告

器質性脳疾患におけるCapgras症候群—回復期に本症候群を呈した脳炎の1例

著者: 富岡秀文12 鳥居方策3 柳下道子3 松原三郎3

所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室 2桜ケ丘神経サナトリウム 3金沢医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.65 - P.75

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 抄録 CapgrasとReboul-Lachaux(1923)の原著以来,Capgras症候群の報告は精神分裂病やうつ病など内因性精神病の症例について行われてきたが,近年では英語圏を中心に脳器質性疾患における本症候群の記載が散見される。本邦における報告は,いずれもほぼ精神分裂病圏内の症例を対象としたものである。
 われわれは最近,単純ヘルペス・ウイルスによると思われる脳炎の急性期からの回復途上において,意識障害の徴候が消失した後,ほぼ通過症候群と思われる時期に,母親を対象としてCapgras症候群を呈した19歳の女性の症例を経験した。
 本症例の臨床経過の報告とともに,器質的背景を有する症例を中心にCapgras症候群の文献的考察を行い,ついで器質性脳症候群における本症候群の発現機序を,文献例ならびに本症例について考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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