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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻11号

1982年11月発行

文献概要

研究と報告

分裂病様症状を呈したKlinefelter症候群の1例—その発達史と精神病理

著者: 内海健1 南光進一郎2

所属機関: 1東京大学医学部分院神経科 2東京大学医学部脳研究施設心理学部門

ページ範囲:P.1163 - P.1168

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 抄録 分裂病様症状を呈したKlinefelter症候群の1例につき,発達史および精神病理的側面を中心に考察を行った。発達史では幼児期より強力な母子依存関係およびgender identityの障害がみられ,後者は思春期に身体的徴候が出現するのを契機に再び顕在化していることが認められた。また依存的な傾向と対照的に未分化な攻撃性が潜在している可能性が窺われた。精神症状に関しては発病に際し反応性の要素が強く,精神力動が比較的明瞭にとらえられ,また分裂病様症状自体は軽症に経過していることが認められた。このような病像に関して,全般的な防術機制の未熟性や〈依存—攻撃〉による葛藤の単純な処理などの要因が考えられ,発達史上の問題が病像に影響を及ぼしていることが窺われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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