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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

急性経過をとる散発性脳炎—精神科救急外来との関連において

著者: 前原勝矢1 関健1 荒井稔1 西村真也1 木村正久2 西克典2 飯塚礼二1

所属機関: 1順天堂大学医学部精神神経科 2順天堂大学医学部脳神経内科

ページ範囲:P.1185 - P.1194

 抄録 10例の散発性急性脳炎の臨床症状と経過を報告した。これらは10歳又は20歳代の女性に多く,春秋の季節の変りめに多発する。症状は精神分裂病,特に緊張病,ヒステリー,心因反応に酷似するが多くは軽度の意識障害を伴っている。痙攣発作,不随意運動,言語障害など多彩な神経症状も認められる。経過,予後は比較的良好で8例はほぼ病前の生活を維持している。髄液にはリンパ球の増加が見られるが,その経時的変動は急激で初期の短期間のみに異常が認められるものが多い。脳波異常の出現率は高く,急性期にはδ波などの徐波が汎性に出現するが慢性期には棘波,棘徐波結合などの異常波が側頭葉に出現することが多い。従って急性期のみならず長期にわたる経過観察が必要である。発病時の症状から急性内因性精神障害を疑われやすく,精神科救急外来の対象としても重要な疾患と考える。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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