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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻11号

1982年11月発行

文献概要

研究と報告

Carbamazepineの躁うつ病に対する予防効果—長期投与例についての検討

著者: 岸本朗1 小椋力1 挾間秀文1 井上絹夫2

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室 2但馬病院

ページ範囲:P.1203 - P.1211

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 抄録 1975年,著者らは躁うつ病者にcarbamazepine(CBZP)を使用し,うち51例において,CBZPの躁うつ病相出現予防効果について報告した。今回は前回の報告例のうち,CBZPの総投与期間が,今日までに合計2年(104週)以上に及んだ29例について,あらためて予防効果の再評価を試みた。これら29例の全症例は,前回報告後もCBZPの継続投与がなされていた。したがって29例のCBZP投与の観察期間は,2年1ヵ月〜10年6ヵ月(平均6年2ヵ月)におよび,予防効果の総括では,躁うつ病相の完全抑制例(CBZP使用期間中,まったく病相出現のみられなかったもの)は3例,不完全抑制例(ある程度の病相出現抑制効果のあったもの)は19例,および抑制不能例(効果のなかったもの)は7例であった。この結果は前回報告時に比較して,完全抑制(著効)例が減少して,不完全抑制(有効)例が増加したことを示しているが,経過観察延長によっても,抑制不能(無効)例はそれほど増加せず,躁うつ病相再発の予防にCBZPが有用であることを示すものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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