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研究と報告
精神病様状態を呈したヘルペス脳炎の1症例
著者: 上野郁子1 鈴木康譯1 大原健士郎1
所属機関: 1浜松医科大学精神神経医学教室
ページ範囲:P.1215 - P.1220
文献購入ページに移動 抄録 発熱・頭痛・嘔吐などの身体症状より発病し,髄液所見よりウイルス性髄膜炎と診断され,対症療法により急性期を脱し自然治癒したものの,発病後1ヵ月して幻覚・妄想状態などの精神症状を主徴として再燃し,後遺症として人格変化・記銘力障害を呈するにいたった,ヘルペス脳炎とほぼ確診できる1例を経験した。ヘルペス脳炎は,最も頻度が高く最も重篤なウイルス性脳炎として知られ,また病初期に精神症状が前景に出ている報告例が多いが,本症例は精神症状を主として再燃したために精神病と誤まられた1例であり,他の報告と比較検討すると,精神症状出現の時期など,ヘルペス脳炎の臨床症状の多彩さを示すものとして,若干の文献的考察を加え,ここに報告する。
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