文献詳細
研究と報告
文献概要
抄録 境界例は最近注目を集めている(臨床)疾患単位の1つである。それは発病年齢,病像,精神病理などの点から青年期に特有の病態とされている。しかし臨床場面において,稀ではあるが青年の境界例(青年型境界例)とよく似た病像や精神病理をもつ大人の患者に出合うことがある。このような大人の境界例(成人型境界例)に関する言及は,これまであまりなされていないようである。われわれは成人型境界例と思われる4例を経験したので報告するとともに若干の考察を加えた。彼等はうつ状態を呈して来院することが多いので,はじめに笠原・木村のうつ状態の臨床的分類に照合し,次にDSM-Ⅲの「境界人格障害」を「分裂型人格障害」に照合して臨床診断学的に「境界例」であることを確かめた。更にそれらの成人型境界例と青年型境界例を比較することから,成人型境界例の特徴を浮き彫りにすることを試みた。
掲載誌情報