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特集 リチウムの臨床と基礎—最近の話題
躁うつ病に対するリチウム療法の現況
著者: 渡辺昌祐1
所属機関: 1川崎医科大学精神科学教室
ページ範囲:P.137 - P.154
文献購入ページに移動I.はじめに
リチウム療法が精神疾患に対して導入されて以来,既に30年が経過した。その間,20種類以上に及ぶ精神神経疾患(表1)に対してリチウム治療が試みられている。躁病の治療や,躁うつ病の予防に対するリチウム治療の効果は確立したが,その他の疾患に対するリチウム療法の効果は十分実証された段階ではないが,効果が認められたとする症例報告や,より詳細な研究報告が後を断たない。このことはリチウム治療の有用性が十分ではないが認められるからであろうし,今後の研究を必要とする部分でもある。本邦においても昭和50年2月以来,炭酸リチウムが医薬品として販売されるに至り,今日多数の精神科医がリチウムを使用するに至っている。
著者は1974年に本誌に「感情障害とリチウムイオン」1)を発表したが,その後の躁うつ病に対するリチウム療法の現況を展望する。
リチウム療法が精神疾患に対して導入されて以来,既に30年が経過した。その間,20種類以上に及ぶ精神神経疾患(表1)に対してリチウム治療が試みられている。躁病の治療や,躁うつ病の予防に対するリチウム治療の効果は確立したが,その他の疾患に対するリチウム療法の効果は十分実証された段階ではないが,効果が認められたとする症例報告や,より詳細な研究報告が後を断たない。このことはリチウム治療の有用性が十分ではないが認められるからであろうし,今後の研究を必要とする部分でもある。本邦においても昭和50年2月以来,炭酸リチウムが医薬品として販売されるに至り,今日多数の精神科医がリチウムを使用するに至っている。
著者は1974年に本誌に「感情障害とリチウムイオン」1)を発表したが,その後の躁うつ病に対するリチウム療法の現況を展望する。
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