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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻2号

1982年02月発行

特集 リチウムの臨床と基礎—最近の話題

内科領域におけるリチウム療法—甲状腺疾患

著者: 和泉元衛1 長瀧重信1

所属機関: 1長崎大学医学部第一内科

ページ範囲:P.187 - P.192

文献概要

I.はじめに
 1968年Schou1)らはリチウム治療中の躁病患者に甲状腺腫の発生頻度が高いと報告した。これがリチウムの甲状腺に及ぼす影響の最初の報告である。その後,リチウムの甲状腺に対する作用について多くの研究がなされてきた。すなわち,甲状腺のヨード取り込み,甲状腺ホルモンの合成,分泌,代謝のどの過程にリチウムが作用するか検討された。これらの研究報告間で,お互いに相反する結果も散見されるが,大部分の報告ではリチウムは,甲状腺の放射性ヨードの取り込みを抑制せず甲状腺ホルモンの分泌を抑制している1〜2)。このことはリチウムが甲状腺内のヨードの蓄積を促進させることを意味する。このリチウムのヨード蓄積作用を利用して,バセドウ病および甲状腺癌の131I療法の効果を増強させることが可能である。著者らはバセドウ患者および甲状腺癌患者の131I療法にリチウムを併用し,その治療効果を増強させうるかどうか現在検討中である。初期検討の結果ではリチウムの併用は非常に有用であることが示唆された。そこでこの初期検討の結果をここに述べる。
 リチウムは甲状腺ホルモン分泌を抑制するが甲状腺の131I取り込みは抑制しない。一方ヨードはリチウムと同様に甲状腺ホルモンの分泌を抑制するが,同時に甲状腺の131I取り込みをも抑制する。そこで本稿でこの両者の相異についても少し述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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