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不安と恐怖からみた神経症の考え方
著者: 田代信維1
所属機関: 1産業医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.246 - P.262
文献購入ページに移動I.はじめに
神経症は不安の問題をぬきにして語れない。不安と関連して恐怖があるが,これらの用語は定義が不明確で,しばしば区別されずに使用されている。そのことがこの分野での研究の発展をさまたげている面もみられる。
また最近,不安や恐怖状態での自律神経系や内分泌系機能について脳生理学的研究が多く集積されている。その他の脳神経機能に関する研究も長足の進歩をとげている。近い将来心理学と脳生理学の分野は一層接近し,神経症の研究が心身両面から同じ土俵で討論されるようになり,治療面に大いに貢献することが期待される。
そこで不安と恐怖を主題とした研究,またそれらを基盤にした文献に絞って展望し,その定義と発生機序についてまとめてみた。さらに神経症的不安(病的不安)と症状の関係について,主として実験および認知心理学からの研究に基づき,理論づけの可能性を探った。いま1つの目的は心理学的研究成果を生物学的,脳生理学的レベルにどれだけ導入しうるのか,どこにその接点を求めうるのかを探ってみた。
神経症は不安の問題をぬきにして語れない。不安と関連して恐怖があるが,これらの用語は定義が不明確で,しばしば区別されずに使用されている。そのことがこの分野での研究の発展をさまたげている面もみられる。
また最近,不安や恐怖状態での自律神経系や内分泌系機能について脳生理学的研究が多く集積されている。その他の脳神経機能に関する研究も長足の進歩をとげている。近い将来心理学と脳生理学の分野は一層接近し,神経症の研究が心身両面から同じ土俵で討論されるようになり,治療面に大いに貢献することが期待される。
そこで不安と恐怖を主題とした研究,またそれらを基盤にした文献に絞って展望し,その定義と発生機序についてまとめてみた。さらに神経症的不安(病的不安)と症状の関係について,主として実験および認知心理学からの研究に基づき,理論づけの可能性を探った。いま1つの目的は心理学的研究成果を生物学的,脳生理学的レベルにどれだけ導入しうるのか,どこにその接点を求めうるのかを探ってみた。
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