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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻3号

1982年03月発行

文献概要

研究と報告

ミオクローヌスてんかんの疑われた1症例—Forced Normalization現象と強迫笑に焦点を当てて

著者: 小林隆児12

所属機関: 1福岡大学医学部精神医学教室 2現福間病院

ページ範囲:P.309 - P.317

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 抄録 筆者は,最近,発作的な笑いを初発症状として,他に精神病様異常体験などの精神症状を伴ったミオクローヌスてんかんと思われる1例を経験した。治療経過の過程で,発作的な笑いや他の精神症状は抗けいれん剤の投与により悪化したが,脳波上は発作波が消失するという臨床像と脳波所見との間に強制正常化(forced normalization)と思われる現象が認められた。しかし,脳波の上で発作性律動異常が消失した際,背景活動は逆に徐波化傾向を示した。このような背景活動の異常と非発作性精神症状との関連から,このような現象を強制正常化と呼ぶことについて批判的に考察を加えた。同時に本例の発作的な笑いが,てんかん性の笑い発作ではなく,強迫笑であると推論される根拠のひとつとして,この強制正常化の現象を考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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