動き
「第3回世界生物学的精神医学会」に出席して
著者:
高橋良
,
加藤伸勝
,
野村純一
,
高城昭紀
,
吉本静志
ページ範囲:P.451 - P.455
生物学的精神医学の研究が,内外を問わず活発になってきていることは,現在の精神医学の一つの趨勢であると思われるが,第3回世界生物学的精神医学会が1981年6月28日から7月3日までストックホルム(スウェーデン)の国際博覧会(MÄSSAN)において開催された。本学会の会長は,C. Perris(スウェーデン),副会長は福田哲雄教授(日本),事務局長はG. Struwe(スウェーデン)であった。登録者だけでも1,300名を超えるので,家族や当日受付者を入れれば1,500〜1,800名位になると思われる本学会であった。会場に当てられた通称"MÄSSAN"と呼ばれる会場は,まさに博覧会のためにつくられた会場で,ポスターセッションの展示には向いていたが,大小それぞれの講演会場としては適,不適にはっきり分けられる感があった。会場は市街地から鉄道を利用すれば,15分足らずで行かれるが,付近は家らしい家もない所で,一度,"MÄSSAN"に入ると外に出ることもままならず,罐詰にされた圧迫感と,どこかの部屋に入って講演等を聞かざるを得ない強迫感に終始した一週間であった。
第1日目は開会にあたり上記3名と,N. Sartorius(WHO,ジュネーブ)が演説を行い,その後,開会記念講演としてKendell, R. E. により「生物学的研究の診断基準の重要性」と題して最近の趨勢が述べられた。第2日目より学会に入り,5日間にシンポジウムは60テーマ,計約470題,一般演題は19テーマ,計約134題,小一般演題は5テーマ,計約49題,ポスターセッションと円卓討論は約50セッションの計約369題の発表がそれぞれ行われ,その間特別講演としてP. Deniker(フランス),F. Liavero(スペイン),K. Leonhardt(東ドイツ),C. Shagass(米国)が,それぞれ長年の研究結果に基づく見解を述べた。また全体セッションとして3テーマで計19人が発表を行った。