文献詳細
文献概要
特集 視覚失認
視知覚の神経生理学
著者: 酒田英夫1
所属機関: 1財団法人東京都神経科学総合研究所
ページ範囲:P.367 - P.380
文献購入ページに移動I.はじめに
網膜から取り込まれた視覚情報は脳の中でどのような処理を受けて意識にのぼる知覚を起こすのだろうか?今から20年ほど前に,HubelとWiesel7)はネコの視覚野でスリットやエッジに反応する細胞を見つけ,これらが知覚の建築用ブロック(building block of perception)であろうと述べた。しかし視覚中枢のニューロンと知覚現象の直接的な対応がつけられたのは,Bishop4)やBarlow2,3)による両眼視差識別細胞や運動方向選択細胞などの研究で立体視や仮視運動のメカニズムが明らかになったのがはじめである。
1970年代になって,より高次の視覚前野や連合野で神経生理学的研究が行われるようになって,色彩の知覚,形の知覚,運動の知覚,視空間の知覚などのメカニズムが次第に明らかになりつつある。そこで今回は視知覚の中枢機序についての最近の話題を拾って紹介する。
網膜から取り込まれた視覚情報は脳の中でどのような処理を受けて意識にのぼる知覚を起こすのだろうか?今から20年ほど前に,HubelとWiesel7)はネコの視覚野でスリットやエッジに反応する細胞を見つけ,これらが知覚の建築用ブロック(building block of perception)であろうと述べた。しかし視覚中枢のニューロンと知覚現象の直接的な対応がつけられたのは,Bishop4)やBarlow2,3)による両眼視差識別細胞や運動方向選択細胞などの研究で立体視や仮視運動のメカニズムが明らかになったのがはじめである。
1970年代になって,より高次の視覚前野や連合野で神経生理学的研究が行われるようになって,色彩の知覚,形の知覚,運動の知覚,視空間の知覚などのメカニズムが次第に明らかになりつつある。そこで今回は視知覚の中枢機序についての最近の話題を拾って紹介する。
掲載誌情報