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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻4号

1982年04月発行

資料

米国精神科専門医試験(そのⅠ)—第1次(筆記)試験

著者: 丸田俊彦12

所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科教室 2メイヨ・クリニック精神科

ページ範囲:P.445 - P.450

文献概要

Ⅰ.序
 米国における卒後訓練(graduate training,residency)制度は,専門医試験受験資料の取得とその受験準備という,かなり具体的・実践的な側面を持っている13,26)。今のところABPN(The American Board of Psychiatry & Neurology)により認定されたレジデントを終了して専門医試験受験資格(“board eligible”)さえ持っていれば,専門医として認定(“board certified”)された者と仕事の上でも,経済的にも大差は無いようであるが,最近,それも長くは続かないような雲行きになってきている21)。国民の医療への関心が高まり,保険会社の医療費支払い査定が厳しくなって,連邦政府までが医療の日常に口ばしを入れんばかりになってきている現在,精神科医の社会的,政治的・経済的立場を固め,自分達が何ものであるかというidentityを確立するための最も卑近な方法は,専門医制の充実であろう。つい最近まで専門医として認定された者の比率が比較的低かった精神科(34%;外科89%;小児科87%;内科61%)においても,専門医としての認定を受ける意義が見なおされ,受験者数4)はもとより,認定医(board certified)数の資格保持者(boardeligible)数に対する比率が徐々に上昇し始めている。この傾向は受験場に行ってみると良く分る14)。40代,50代の精神科医が30代の試験官に試験されている図は,あらゆる意味においてアメリカ的である。
 私は,4年間(1972〜1976)のレジデント終了と,ミネソタ州医師免許証取得(FLEX,1974)によって精神科専門医試験の受験資格を得,その後数年の間に筆記試験(April '77),口頭試験(二次試験,April '78)に合格した。また最近は(June '80),口頭試験の試験官になる機会を得て,全く逆の立場から専門医試験を体験した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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