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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻5号

1982年05月発行

文献概要

研究と報告

慢性覚醒剤中毒の臨床的研究

著者: 佐藤光源1 中島豊爾1 大月三郎1

所属機関: 1岡山大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.481 - P.489

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 抄緑 最近の覚醒剤中毒者の臨床を把握し,抗精神病薬がなかった戦後の第一次乱用期における立津らの調査結果と比較するために本研究を行った。10施設を過去3年間に受診した慢性覚醒剤中毒者108名を調査し,次の結果を得た。1)覚醒剤使用以前の患者の状況―ぐれた生活史,暴力団との関係,低学歴と高率の中退,離婚,20%にのぼる精神障害の遺伝負因,高率にみられるmultiple use―は,時代,文化的背景が一変した今日でも,戦後の調査結果と不変であった。2)覚醒剤中毒の入院における臨床像は,DSM-Ⅲ精神分裂病診断基準の急性期症状の大部分を占め精神分裂病との鑑別が困難であること,しかしいくつかの鑑別点を指摘できることを示した。3)抗精神薬の使用で,第一次乱用期にくらべ,幻覚妄想状態はより早期に消褪した。4)「意識障害を伴う」幻覚妄想状態→「意識混濁のない」同状態→著明な器質性人格特徴へ推移する臨床経過,高率にみられた履歴現象型の急性再燃などを示し,幻覚妄想状態を通過症候群ととらえる立場から考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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