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児童精神医学の動向—とくに生物学的側面から(そのⅡ)
著者: 山崎晃資1 片岡憲章2 林雅次1
所属機関: 1東海大学医学部精神科 2市立札幌病院付属静療院児童部
ページ範囲:P.574 - P.585
文献購入ページに移動成人の大脳半球機能には左右差があり,とくに言語機能が左半球に一側化していることは古くから知られていることである。この一側化現象が,どのような過程を経て確立され,言語習得過程とどのようなかかわりをもつのかを検討することは,言語習得の生物学的基礎を明らかにする上で重要であるばかりではなく,言語習得がきわめて困難である自閉症児,言語発達遅滞児などの病態を理解する上でも有用なことと考えられる。
Lenneberg133)は,1960年代までに集積された言語に関する生物学的知見をまとめ,言語習得に関する理論的仮説を発表した。その後,今日までの15年間,この理論は心理言語学,とくに行動主義的な学習理論にかわってあらわれたChomskyの生成文法理論の生得的な言語観に,生物学的な根拠を与えるものとして受け入れられてきた。しかし,この間になされた生物学的研究の展開にはめざましいものがあり,Lennebergの理論的仮説が再検討されるべき時期にきているといえる。
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