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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻6号

1982年06月発行

文献概要

研究と報告

催眠剤静脈内投与効果の脳波薬理学的検討(第1報)—誘発睡眠経過の分析

著者: 苗村育郎1 斉藤陽一1 高橋行雄2

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2日本ロッシュK. K. 開発本部

ページ範囲:P.595 - P.608

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 抄録 催眠剤の効果特性を比較検討するために,昼間一定時間の睡眠を誘発し,その前後にわたり脳波を基軸とした多角的な生理・心理指標を追跡する新しい実験デザインを考案した。これに基づき,3種類の催眠剤,flunitrazepam(F),diazepam(D),amobarbital(A)およびplacebo(P)を,各々11名の健康成人男子に静脈内投与し,F,D,Aにおいては,計画通りいずれも平均約90分の誘発睡眠を得,各指標を等しい条件下で検討するてとが出来た。本報告ではこのうち,我々の考案した,誘発睡眠に関する11種類の脳波状態区分(EEG states)を適用して,各薬剤の睡眠経過を分析・比較した。その結果,Pに対しては各薬剤とも,誘発睡眠時間(DIS)とその内部でのEEG statesの分布において明らかな有意差を示した。薬剤間では,上述の如く平均DISには有意差は無いが,EEG statesの分布において薬剤の特徴が示されていた。即ち,Fは,D,Aに対し,早期に徐波睡眠(State Ⅱb,Ⅲ)を有意に多く生じるが,すみやかに回復してD,Aより早くplaceboの水準に近づく傾向が見られた。DとAの間には有意差は示されなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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