icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻6号

1982年06月発行

文献概要

研究と報告

シアナマイド・アルコール反応(Cyanamide alcohol reaction)の臨床および生化学的研究

著者: 小宮山徳太郎1 庄田秀志12 小片寛1

所属機関: 1信州大学医学部精神医学教室 2現沖縄県立精和病院

ページ範囲:P.609 - P.620

文献購入ページに移動
 抄録 アルコール非依存症者(Non-Alcs)にアルコール反応(AR)試験とシアナイド・アルコール反応(CAR)試験を,アルコール依存症者(Alcs)にCAR試験を行った。各試験結果を比較検討し,(1)CARがアセトアルデハイド(AA)の薬理作用である,(2)血中AAがNon-Alcs<男子Alcs<女子Alcsの順に高い傾向がある,(3)Non-Alcsでは悪心・嘔吐・睡眠への移行が認められ,虚脱・意識喪失に至らない(4)AlcsではCARの初期症状は飲酒の妨げとはならず,また悪心・嘔吐・睡眠への移行などがないかあっても軽度であるのに反して,収縮期血圧の低下が著明となり急激な心膊数の減少・虚脱から意識喪失に至る例があり,その傾向は女子Alcsに著しい,(5)Alcsでは血中AAと収縮期血圧の低下との間に軽度の相関を認めるがNon-Alcsでは認めない,などの結果を得た。そしてAlcsはアルコール依存形成とともにAAによる自律神経症状や中枢抑制作用に耐性を獲得し,AAの心血管系への直接作用には抵抗性が低下していることが推測されたので考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?