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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻6号

1982年06月発行

文献概要

研究と報告

三人組精神病の1家族例—知見補遺

著者: 高橋明1 土居通哉2 臼井宏1 竹中奎子3

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科学教室 2防衛医科大学校精神科学教室 3高月病院

ページ範囲:P.637 - P.643

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 抄録 三人組精神病の1例を紹介した。5年前に両親の反対を押し切って遠方に嫁いだ29歳の娘に,嫉妬—,被害—,関係—,追跡妄想が生じ,第一段階として娘との分離に成功していず,彼女との親密な関係を願望していた,感情移入を起こしやすい母親がその妄想に感応した。第二段階として,衝動的で,母親に無批判,依存的な父親が感応し,ついには3人で同じ妄想を共有するに至った。この感応現象の背景には,両親がかねてから娘婿を好ましからざる人物と考えていた事実があり,妄想内容が両親に容易にあり得ることと受け取られ,2人の不満の発散に役立ったと考えられる。娘の妄想は両親に抵抗なく受容され,2人の発症は急性で,しかも娘との分離後数日以内に治癒した。これは上記の生活史的背景や,家族内対人関係にその理由があると考えた。また,これまでの二人組精神病の報告例と若干異なる点を指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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