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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻6号

1982年06月発行

文献概要

研究と報告

Switch processに伴い著明な生化学的・脳波学的所見の変動を示した躁うつ病の1症例

著者: 中河原通夫1 松浦雅人1 平沢秀人1 石井紀夫1 西川徹1 渡辺明子1 花村誠一1 仮屋哲彦1 島薗安雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.645 - P.653

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 抄録 3年余にわたり,約2ヵ月の周期で躁病相とうつ病相を繰り返す1症例について,これらの病相期のみならず,その移行期にも注目して,臨床生化学的ならびに脳波学的検討を行なった。1)catecholamineのneuromodulatorであるβ-phenylethylamineの尿中排泄量は,躁病相からうつ病相へ移行する時期に増加を示した。一方,norepinephrineの代謝産物であるMHPG-SO4,の尿中排泄量は,うつ病相から躁病相へ移行する時期に増加した。2)脳波基礎活動は,臨床症状の推移と一致して変動した。躁病相では後頭部優位に10〜12Hzα波が多量出現する正常脳波であるが,躁病相の後半より徐々に徐波化し,うつ病相では7〜8Hzの波が主体となる徐波異常脳波を呈した。一方,うつ病相から躁病相への移行期の速波化はすみやかであった。また,夜間ポリグラフの所見では,うつ病相での異常がより顕著であった。以上の結果について,switch processという観点から考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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