文献詳細
短報
Tardive dyskinesia例に認められた特異なcorpora amylacea分布
著者: 今岡健次1 中村晴臣1 久葉周作2 杉原寛一郎2 小椋力3
所属機関: 1鳥取大学医学部脳神経病理 2安来第一病院 3鳥取大学医学部神経精神科
ページ範囲:P.658 - P.661
文献概要
遅発性ジスキネジア(tardive dyskinesia)はSigwaldら(1959年)の最初の報告以来,現在までに種々の報告がなされている。本ジスキネジァは非可逆的な不随意の常同的,リズミカルな運動があらゆる筋群に発生する。しかし,大半が口唇,舌,顎に発生することから,buccolinguomasticatory dyskinesiaとかoral dyskinesiaともいわれる。原因としては向精神薬等の薬物の副作用(drug-induced)と老齢化(spontaneous)が考えられている。
病理形態学的には,いまだ十分な知見を認められておらず,さらに神経病理学的検索が要求されているのが現状である。著者らは長期にわたって向精神薬(chlorpromazine)を服用しtardive dyskinesia症状を示した1例を剖検する機会を得,両側淡蒼球外節に限局して無数のcorpora amylacea(以後C. A. と略す)を認あた。本例のC. A. の淡蒼球外節における分布を,対象(100例)と比較し,若干の考察を加えて報告する。
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