icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻6号

1982年06月発行

文献概要

古典紹介

Josef Gerstmann—手指失認—自分の身体の位置づけの限局した障害—第1回

著者: 板東充秋1 杉下守弘2

所属機関: 1東京大学医学部神経内科 2東京都神経科学総合研究所臨床神経学部リハビリテーション研究室

ページ範囲:P.665 - P.670

文献購入ページに移動
 外科医でもあり,神経学者,精神病理学者でもあったAmbroise Pare以来,身体部分(四肢,乳房,陰茎等々)を切断した様々な患者が,存在しないはずの肢節(身体部分)をなおも長く感じ続けることは周知の事実である。このような患者は,切断された身体部分が,なおも存在するという感じが(特に最初の頃は)余りに強く,切断されていることを全く意識しないこともある。このため,例えば,足をなくしたことを何度も忘れ,これを掴もうとしたり跳び上がろうとして倒れてしまう。このような簡単な事実より次の如き知見が明らかになる。
 我々は自分の内に——十分意識してではなく,意識の中心からは外れたところで—自分の身体についてのいわば身体図式,Headの用語では姿勢模式(Postural model)を持っている。自分の身体の内的表象,誰もが持つ自分の身体的自我の空間像とはこのような意味に解されるべきである。この身体空間像はすぐれて視覚的だが,ある程度は触覚—運動覚的でもある。身体図式は,全体として「我々の身体性の意識の本質的土台」(Pick)を表わしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら