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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻7号

1982年07月発行

文献概要

研究と報告

本態性振戦に合併してみられたうつ状態の2症例—精神病理学的考察

著者: 高岡健12 三上泰史3

所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神科 2黒野病院 3岐阜南病院

ページ範囲:P.741 - P.747

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 抄録 本態性振戦(benign essential tremor,BET)に合併してみられたうつ状態の2症例を,その病前性格・発病状況・治療および経過を検討しつつ報告した。BETとうつ状態の合併例はこれまで報告が少なく,検討も不十分である。われわれは,2つの症例について,BETとうつ状態の持つ意味を検討する中から,①BETの振戦症状はうつ状態の背景に認められる神経症傾向と相関して消長していること②振戦症状はうつ状態へと至る発病状況の1つの要因を構成していることを指摘し,考察を加えた。そしてBETの患者の構成する世界の安定性が危機化する度合に応じて,振戦が状況構成された世界の内部に秩序づけられることができず,世界の外部に違和として表われるようになることがBETとうつ状態を精神病理学的に関係づけていることを述べた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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