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文献詳細

雑誌文献

精神医学24巻7号

1982年07月発行

文献概要

研究と報告

ClomipramineとDesmethylclomipramineの乳汁中への分泌

著者: 竹村道夫1 利田周太1 淵野和子1

所属機関: 1帝京大学医学部精神科

ページ範囲:P.749 - P.753

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 抄録 Clomipramine(以下CI)投与中のうつ病患者2例で,血中と乳汁中のCIおよびその代謝物,desmethylclomipramine(以下DC)濃度を測定した。乳汁中のCI,DCは,血漿中と同等かこれより高濃度であり,50mgのCI経口投与と100〜125mgの点滴を受けていた1例では,乳汁中の(CI+DC)濃度は1,000ng/mlに達していた。
 この乳汁中濃度は,今まで他の三環系抗うつ剤(以下TAD)について報告されていた濃度より著しく高いので,この相異に関係すると思われる要因について分析し考察した。
 この問題に関する以前の報告の多くは,個人的情報などの曖昧なデータに基づいており,また他の報告でも薬剤濃度の測定法などに疑問点が多く,乳汁中TAD濃度を実際より低く見積り過ぎている可能性が示唆された。
 乳児に対するTAD投与の安全性が確認されていない現状では,TAD治療中の母親が授乳を希望する場合には,乳児への悪影響を考慮して慎重に対処すべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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