文献詳細
文献概要
短報
脳波異常を持つtrichotillomaniaの2症例
著者: 池淵恵美1 斎藤治1 増井寛治1 亀山知道1 安西信雄1 丹羽真一1
所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.768 - P.771
文献購入ページに移動Trichotillomania(抜毛症)は,1889年にHallopeau, M. 1)によってはじめて報告されている。わが国においても多くの報告がみられるが,その多くは情緒障害によるもの,または神経症圏としてtrichotillomaniaをとらえている2〜6)。一方,精神病の1症状とするもの7),性格異常者の自傷行為としてみられるとするもの8)等,異なる観点からtrichotillomaniaをとらえた報告があり,その発症機序もさまざまであると考えられる。
斎藤9)はtrichotillomaniaの小児例に高率に脳波異常を見出し,てんかんまたはその類縁疾患として一部のtrichotillomaniaをとらえている。しかしこれらの例における抜毛の発生機序と脳波異常との関連は十分明らかとはいえず,詳しい検討が必要と思われる。
われわれは脳波異常を持つtrichotillornaniaの小児例を2例経験した。ここにその2症例を報告し,文献考察を合わせ脳波異常と抜毛行為との関連を考察する。
掲載誌情報