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文献概要

紹介

強迫神経症患者と健康者に対するLeyton Obsessional Inventoryの試用

著者: 築山育子1 横山茂生1 久保信介1 岩井闊之1 吉田周逸1 河田隆介1 渡辺洋一郎1 宮前文彦1 西村協子1 渡辺昌祐1

所属機関: 1川崎医科大学精神科学教室

ページ範囲:P.787 - P.791

I.はじめに
 強迫症状は,神経症をはじめ精神分裂病,うつ病,脳器質疾患などにも認められる精神症状である4,5,8,10)。その治療にあたっては,各種の精神療法や薬物療法が行なわれているが6,9,11),短期間に十分な治療効果が得られない症例に,比較的多く遭遇することは,多くの精神科医が日頃経験することである。
 強迫症状を有する症例をみていると,基礎疾患による差だけでなく,性格特徴にも,更には強迫症状の程度および,強迫症状を病的なものとして苦しむ度合にも,非常に多くの個人差が存在している。この個々の例についてのそれぞれの特徴を十分に把握することは,治療上重要であることは当然であろう。
 しかるに,現在,わが国で一般的に用いられる心理検査の中には,MMPI3)の一部に強迫症状を評価する項目はあっても,強迫症状の性質や程度を詳しく評価できるものはなかった。
 Leyton Obsessional Inventoryは,Cooperらが1970年に作成した,強迫傾向と強迫症状の量と重症度を評価する自己評価法であり,英国では広く使われている。
 今回,筆者らは本検査を邦訳して,強迫神経症患者23名,健康者38名に使用し,それぞれの強迫傾向と強迫症状の有無,程度について,両群を識別し得る結果を得たので報告する。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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