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抄録 分裂病思考と幼児思考は,異なるが似ていると指摘される。そこで,我々は幼児思考に関してのPiagetの操作構造の視点に立って,分裂病自験例の病態を考察してみた。我々の症例は,知覚対象の局面で感覚運動的操作構造を完成していない。また,表象・概念の局面で具体的操作構造を完成していない。一方,幼児思考は,感覚運動的操作構造は完成されているが,具体的操作構造が完成されず,前操作期の状態であるといわれる。したがって,分裂病思考と幼児思考との相異点の一つは,感覚運動的操作構造が完成されているか否かに相応すると考えられる。
また,分裂病思考のこの両操作構造が同時に完成されていない状態を,操作構造の発達の視点からは説明することができない。さらに,老化・退行の視点からも,これを説明することができない。つまり,これは分裂病思考の独自の障害であると結論できる。
また,分裂病思考のこの両操作構造が同時に完成されていない状態を,操作構造の発達の視点からは説明することができない。さらに,老化・退行の視点からも,これを説明することができない。つまり,これは分裂病思考の独自の障害であると結論できる。
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