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研究と報告
抑うつ神経症をめぐる臨床の動向—一大学病院精神科の外来調査から
著者: 松本雅彦1 川越知勝1 田原明夫1 土戸光雄2
所属機関: 1京都大学医学部精神神経科 2公立小浜病院神経科
ページ範囲:P.827 - P.833
文献購入ページに移動①この20年間,全外来受診者のうち分裂病圏の患者の占ある比率はほぼ一定であるのに比し,うつ病圏の患者が着実な増加傾向を示していること,
②そのなかで,この10年テレンバッハ流のメランコリー概念が定着し,神経症性うつ病メランコリー型が一定の比率を占めていること,
③うつ病圏の患者の増加は,神経症とうつ病とのいわば中間型とでもいえる神経症性うつ病未熟型の増加によること,などが明らかとなった。
この神経症性うつ病—未熟型は,その病前性格において,今一つの神経症性うつ病—メランコリー型の示す適応のよい社会的成熟度には達していない点で特異な位置を占め,それが近年のうつ病の「軽症化にしてかつ慢性化」の傾向を強く浮きだたせることになっている。この亜型が精神科外来治療で無視できない1群を構成しつつあることを報告し,この種の疾病の病前性格をも含めた新しい観点からの整理・解明が要請されていることを述べた。
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